『古事記』では闇つきの「闇淤加美神」
イザナミの死因になった息子・火之迦具土神をイザナギがバッサリ切り殺した時に生まれた八神のひとりとして登場する。
刀に着いた血が湯津石村(無数の岩石)にほとばしって「石拆神・根拆神・石筒之男神・甕速日神・樋速日神・建御雷之男神」六神が出てくる。頚から噴出する血を噴火に見立てて石や岩や火や雷の神だという説をとるなら,ついで消防隊として「闇淤加美神・闇御津羽神」(くらおかみのかみ・くらみつはのかみ)が刀の柄を握る手の股から漏れた血から出てきて計八神。
古事記自身の読み方指南で闇淤加美は「淤以下三字以音」「おかみ」と読め,と書いてある。萬葉集では「於可美」だったがこちらはサンズイつきの「淤」。「可」は「加」が採用された。
■『古事記』二か所め
大国主の神裔である十七世の神のひとり比那良志毘賣の父として「淤加美神」
■『古事記』もうひとつシンニョウつき「淤迦美神」
大国主神のひいひいばあさま「日河比賣」の父として「淤迦美神」の名が出てくる。つまり大国主のご先祖が「おかみ神」。占い師や行者さまより由緒正しい「おかみさま」。ここの「淤迦美神」は加えるにシンニョウがついている。
日河比賣の子が深淵之水夜禮花神。その子が淤美豆奴神。ひかわひめ・ふかぶちのみずやれはなのかみ・おみずぬのかみ,水に関係のある名である。したがって淤加美=淤迦美でいいだろう。古事記の編集に厳密な校閲者がいなかったと考えていい。
■「闇淤加美神・闇御津羽神」の「闇kura」のつく神に「天の闇戸神」「國の闇戸神」が古事記に見える。渓谷を司る。また「闇山津見神」谷山を司る。闇は神のあらわれる闇yami(字統)。神が人知れず,それとなくあらわれる。神の音なひ。幽暗。プラス指向の字である。暗愚は後世。
御津羽は日本書紀で罔象。美都波みつは。水の神。[みずは]=罔象で現代の国語辞典にも採録。
■万葉集と同じく古事記原文にも龗の字は使われていない。